
用語の註釈
朝鮮ではかつての李朝時代の行政区画名を踏襲したため、内地では耳慣れない名称が多かった。
地方自治面では、内地ほどには自治権はなかった。
区画名 役所名 長 内 容 道 道庁 道知事 広域地方行政官庁(内地の府県に相当) 府 府庁 府尹 都市部地方行政官庁(内地の市に相当) 郡 郡庁 郡守 農村部地方行政官庁(内地の郡に相当) 島 島庁 島司 島嶼部地方行政官庁(内地の郡に相当) 面 面事務所 面長 基礎的地方行政官庁(内地の村に相当)
朝鮮では、内地人と朝鮮人の学校は別々に存在した。内地人の学校は内地の制度と同じで、朝鮮人は「朝鮮教育令(明治44年勅令第229号)」に基づく学校が設けられた。
実業・高等教育については、同一の教育機関が設けられた。
李朝時代の初等教育機関である「書堂」もそのまま存続した。
内地人用の学校 朝鮮人用の学校 初等教育機関 尋常小学校 普通学校 高等小学校 普通学校高等科 中等教育機関(男子) 中学校(旧制) 高等普通学校 中等教育機関(女子) 高等女学校 女子高等普通学校 教員養成機関 師範学校一部 師範学校二部 実業教育機関 実業学校 高等実業教育機関 専門学校(旧制) 高等教育機関 大学
日韓併合後、旧大韓帝国皇室を日本の皇族並に待遇することになり、新設された身分。李王朝直系を「王族」とし、興宣大院君李昰応の系統の他の皇族を「公族」とした。
王公族は「殿下」の敬称が認められ、「王」は日本皇室の「親王」、「公」は日本皇室の「王」に準じた礼遇を受けた。なお、王公族は隠居ができ、隠居した王は「太王」と呼ばれた。
王公族の家政を司る機関として、宮内省に「李王職」が設けられ、旧韓国宮内府の機能を引き継いだ。朝鮮統治の最高責任者のことで、天皇から統治権を全面的に委任された。総督は行政権のみならず立法権を有し、内地での法律に相当する「制令」、勅令・省令に相当する「朝鮮総督府令」など朝鮮内で適用される法規を制定した。
朝鮮総督は、軍の大物(陸海軍大臣経験者)が多く起用されたため、台湾総督よりも格が上とされた。日韓併合直後の朝鮮で施行された警察制度。具体的には憲兵隊司令官以下の憲兵が一般警察の役職も兼職して、警察官とともに治安を維持した。三・一事件以降廃止されて、普通警察制度に移行した。 日韓併合後、「李王家の系統ではあるが、王公族ではない者」「家柄が良い者」「功労がある者」を対象に新設された身分。
華族同様に公侯伯子男の爵位があり、平民にはない礼遇を受けたが、貴族院議員になる権利はなかった。朝鮮総督府における諮問機関のことで、かつての旧大韓帝国の中枢院(日本の枢密院に相当)をそのまま引き継いだ。
朝鮮貴族で構成される「顧問」と平民の朝鮮人による「参議」がいた。儒教の経典を研究する研究所で、李朝時代の儒教教育機関「成均館」の後身である。大提学(所長)、副提学(副所長)以下の職員は全て朝鮮人で占められていた。 「内地」とは憲法や法律が当然に適用される地域のことで、現在の日本国とほぼ同じ領域である。そして「内地人」とは戸籍法(明治31年法律第12号) の対象となる大日本帝国臣民のことで、現在の日本国民の流れをくむ人たちのことである。
ちなみに、朝鮮や台湾などは「外地」とされ、憲法や法律が原則的に適用されず、総督や長官が発する法規が適用された。天道教は、かつては「東学」と呼ばれ、教祖・崔済愚によって開かれた。当初は政治活動を盛んに行っていたが、1905年に「天道教」に改称してからは宗教団体としての活動に専念した。 朝鮮の司法機関は「法院」と呼ばれ、内地の裁判所とは別立ての司法機関であった。内地ほどには「司法権の独立」は保障されていなかった。
最高裁にあたる「高等法院」、高裁にあたる「覆審法院」、地裁にあたる「地方法院」が存在した。
朝鮮人も若干名任用されており、日本語を解さない朝鮮人のために「通訳生」という通訳もいた。参考資料
百瀬孝『事典・昭和戦前期の日本 制度と実態』1990年